綺羅星のはてなブログ

ブロマガより怪文書寄り

抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?(ぬきたし)感想

※本文内「ぬきたし」及び、「コードギアス」「劇場版ガンダム00」ネタバレあり

 

先日、Qruppoの名作ノベルゲーム、「抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?」通称「ぬきたし」を読了したので、自分の中でまとめるために筆を執ることにした。始める前はやれ頭がおかしいゲームだの、敗戦国の末路だの散々な言われようなゲームでありながら、既プレイ者からは「熱いバトルゲー」や「泣きゲー」との評価を受けており、プレイする前から非常に気になっていたゲームで、一年ぐらい前からずっとやりたいなと思っていた。そのためちょくちょく公式動画を見てお茶を濁していたのだが、この度購入しプレイし終えた。

正直舐めてました。想像を絶するぐらい面白かったです。

 以下にキャラクターとルートの感想を記していきたいと思う。

 

 

・キャラクター

橘淳之介

主人公。NLNSのリーダーにして、誇り高き童貞。処女厨をこじらせているという事前情報があったため、普通の処女厨かと思えばそんなことはなく、幼少期に島で経験した不幸な事件から青藍島民に対して嫌悪感を抱いているというキャラクターであった。

序盤は島の条例に振り回される様子が描かれているため、女々しい主人公といった感じだが、戦う力を得てNLNSのメンバーが増えてからは、仲間を守るために自分自身の危険を顧みず特攻したりするバトルものの主人公らしいキャラとなっている。

最終決戦で使った「漢勃ち」は完全にバキのパロディであるがクソカッコいい。自らのコンプレックスをアドバンテージに変えて、その思いを全身に転化させる能力であり、思い込みの力。完全にハンターハンターエスプリトの領域である。

作中では無類の巨根扱いされてはいるが、グラフィックで見る限りでは一般的なエッチゲームの主人公のそれと大して変わらないようなイメージが見受けられる。俺も淳之介ぐらいチンコデカくなりてぇよ……

 

片桐奈々瀬

処女ビッチ。ぬきたしに興味を持った理由の二割ぐらいを占めているキャラ(声優で)。学園一のビッチという肩書を持っているが実は処女という典型的ギャップを持ったキャラ。

淳之介にとっては所謂エッチゲーム幼馴染(幼少期少しの期間過ごしただけで本当の幼馴染ではない)であり、妹の麻沙音を除けば唯一幼少期の淳之介を知っているキャラ。基本的にエッチゲームにおいてはこのタイプの幼馴染は常勝キャラとなる風潮が強いのだが、グランドルートのヒロインではないため、勝利キャラかといわれると怪しいと言わざるを得ない。しかし、桐香からは正妻と言われていたり、ラジオでも声優本人から正妻と言われてるので、ルート如何は抜きにして最も正妻感が強いキャラクターではある。

淳之介との相性が非常によく、淳之介と麻沙音が二人でようやく一人前になる兄妹だとするならば、淳之介と奈々瀬は翔太郎とフィリップのような、二人で何倍もの力を発揮する相棒。そういう点でも淳之介の隣に立っているのは奈々瀬が相応しいか。

家事も料理も完璧であり、結婚するなら奈々瀬か文乃。

 

渡会ヒナミ

聖母。見た目はロリだが年齢はNLNSの中でも最年長。最年長に相応しい包容力を持っており、誰のどんな行動も許容し称賛する。誰かが何かを抱え込んでいる時はいち早くそれを察する洞察力も兼ね備えており、その洞察力は自分自身の気持ちにすら気付かなかった桐香の気持ちすら言い当てる程。完全にNLNSのママである。

礼とは昔からの付き合いであり、一番仲の良い友達。マジで礼ヒナ尊い……尊いです……

冷静に考えて子供用のバイブが入らないヒナミが郁子も気絶させるような淳之介のチンコが入るのおかしくね?

 

畔美岬

狂人。アナルにフィギュアを入れたり喋っている時に急にオナニーをし出す女。とは言え、頭が狂っていること以外は文学少女、巨乳、清楚系など作中でも言及されていたが所謂「童貞が好きそうなキャラクター」なので、当然ながら俺も好きになってしまう。むしろ頭のおかしいところもいいアクセントになり、余計好きになってしまう。デブを気にしている設定であるが先日漫画で判明した体重は60kg。俺のほうがデブだという事実に完全に心が折れてしまった。

作中では序盤は清楚キャラや地味キャラ要素が前面に押し出されているが、ストーリーが進むにつれて狂人要素が押し出されてくるので序盤と終盤で扱いが最も変わるキャラかも知れない。

また、アナルバイブ付き自転車から戦闘機まで乗り物ならなんでも乗りこなすという才能を有しており、デブではあるが機動力は随一。Fateとかに出てきたら間違いなくライダーである。

 

琴寄文乃

忠犬。物語のキーパーソンでありグランドルートのヒロイン。県知事の隠し子でNLNS最年少。母一人に育てられ、使用人としての技術を全て教え込まれており家事に関わることならなんでもできる。一家に一文乃欲しい。親から授かった豊玉の加護により視力と洞察力が抜群に良い。

中学生でありながらSSやSHOやヤクザと定期的に交戦しており常に命の危険が伴う女。そのせいで文乃ルートではパンチドランカー状態になり一時的に記憶障害やバランス障害に陥る。淳之介はそれが判明する直前首絞めプレイとかしてたのでそんなことするなよ……って思ってしまった。

そんな彼女であるが母親からの教育の賜物により、誰も憎まずの精神を体現しており、島の全てを愛している。彼女がいなければ共存の道は開けなかったであろう。

 

橘麻沙音

妹。淳之介がいなければ生活できないが淳之介もまた彼女がいなければ生活できない。趣味がネット炎上を見たりゲームで外人を煽ったりと畜生キャラではあるが、仲間が危機になると、それが普段暴言を吐きまくっている美岬や文乃でもすぐに泣く他人思いの性格でもある。百合の文脈に沿えばみさアサは強い百合である。間違いなく百合。

同性愛者という設定だが、兄は例外らしいので実質両性愛者であるだろうが、あまりにも特殊すぎるので性癖に分類されるのかも知れない。

ぬきたしグッズの中で唯一の抱き枕カバーがアサちゃんなのおかしくないですか?

 

冷泉院桐香

生徒会長。一年生ながら生徒会長であり学内随一のカリスマを持つという天才系キャラ。しかし、他人の心がわからないという欠陥を持つ。粘膜接触をすると他人の記憶と現在の感情を読み取ることができるが、あくまで現在の感情であり、継続して対象の気持ちを把握することは困難。わからないのは他人の気持ちではなく、自分の気持ちもそうであり、淳之介に出会うまでは欲しいものが一切なかったらしい。そんな彼女が唯一欲したのが淳之介という、正に敵らしいヒロイン。

 

糺川礼

風紀委員長。序盤から非性産者をギロチン系にかけたり、スパルタ指導をしたりと厳しい系のキャラクターだったのだが、ヒナミルートにおいてそれは弱い自分を隠すためのペルソナと判明。したくないセックスを繰り返し、いつか青藍島を変えられるかもしれないと風紀委員長になったが、もうその情熱は折れてしまっていた。小学生時代からセックスをさせられており、セックスに嫌悪感を持っていたためクラスに馴染めず一人ぼっちだった彼女に手を差し伸べたのがヒナミであった。そうして二人は親友となるのだがヒナミ→礼は親友といった感情であるだろうが、礼→ヒナミはいわゆる巨大感情を持っており、やはり礼ヒナ尊いとなる。

環境では文乃や桐香や郁子も凄惨だが、メンタルが3人とも強いので、メンタルが弱い礼が特に可哀想に見える現象。共存の道を選べたグランドルート後では見違えたほど快活になったらしいのでぬきたしで一番救われた人物の一人かも知れない。

 

女部田郁子

特攻隊長。戦闘狂かつセックス狂というぬきたしという作品を体現したかのようなキャラ。淳之介のチンコに惚れ淳之介のことをダーリンと言い、言い寄ってくる。そんな彼女もSSらしく実家が道場で半分虐待のような稽古を受けていた家庭環境で、これ以上実家に居られないとSSに来た過去を持つ。美岬ルートでは手嶋に乗っ取られたSSから追い出され、淳之介達と行動するが、初めてそこで常識人らしい振る舞いを行う。

声に催淫効果があるらしく、セックスもめっちゃ上手いらしいので、セックスするなら郁子とやってみたい。

自分が女部田郁子っていう名前で生まれてたら絶対にグレているし、改名すると思う。本当に青藍島で良かった。

 

 

・各ルート

奈々瀬ルート

サブヒロインは桐香。序盤から桐香によるアプローチが激しく、それをどう凌いで文乃を手に入れるかという話になって行く。最初にプレイされるのが推奨されるだけあり、作品の表層をなぞったような話になっており、ヤクザや裏風俗などの深い話はあまりしない。その代わり淳之介の過去にスポットがあたっており、虐められていた過去、その時出会った奈々瀬との関係が語られる。淳之介と奈々瀬の関係性に関しては非常に良いが、良くも悪くもルートとしては平凡。SHOやSSも解散され、路頭に迷う人も多く出、文乃も救われないというある意味バッドエンド。

 

ヒナミルート

サブヒロインは礼。淳之介がスパイとしてSSに入り込み、礼のバディとなり事件を解決していくが、SSを裏切ったその瞬間を礼に見られ……というお話。お堅い風紀委員長が実は整理整頓が苦手であったり、ライダーオタク(初めて見る淳之介にアマゾンズの二期後半から見せるような変なライダーオタク)であったりと意外な一面が判明していくのだが、最終的に礼は望んでこの島に来たわけではなく、奨学金がもらえるから仕方なくSSの仕事に従事しているということが判明する。家庭崩壊した結果、家族を食べさせるために望んでもいない性行為を嫌々やっていかなければならないという重さはぬきたしでも随一。

そしてその礼と淳之介の戦闘にヒナミが乱入するのだが、「今まで非性産者を散々苦しめた自分に帰る場所なんてない」と言う礼に対し「ここが礼ちゃんの帰ってくる場所だよ」と肌身離さず持ち歩いていたパイプ椅子を開く。そうして敵対していた礼とヒナミが和解するのであるが、ここが泣ける。ぬきたしで一番泣いた。本当に礼ヒナ尊い

そのまま県知事をぶっ飛ばし条例を撤廃させたが、奈々瀬ルートとは異なり便宜を取り計らってくれたおかげでSSは存続することとなった。

3つのルートの中ではヒナミと礼の関係を含めた「泣きゲー」感が最も強い。伏線の貼り方も非常に上手くグランドルートを除けば完成度が一番高い。

 

美岬ルート

サブヒロインは郁子。三つのルートの中では一番頭のおかしいルートで、プレイする前のぬきたしのイメージに最も近かった。全ルートの中で最も早く恋人同士になるため、イチャイチャしてるシーンが非常に多い。というかそのイチャイチャが最終的に能力にまで登り詰めるのだから本当に頭がおかしい。中でも美岬が「無免許運転マンだああああ!」と叫びながらマジカルミラー号でSHO本部のガラスをブチ破り突入してくるシーンでOP曲が流れた時は「あぁ、こういう使い方するんだ、合ってるな……」と思った。ヒナミルートではチョイ役であった手嶋がラスボスであり、人を洗脳するばかりで愛を知らぬ手嶋に対し、淳之介と美岬の愛で全てを破壊するという展開はある種爽快感のあるものだった。ここでも条例は撤廃されるがSSは存続する。

 

文乃ルート

グランドルート。序盤から正体を隠した文乃とバディを組み島の治安を守るお話。正体が判明した文乃は、奈々瀬ルートと同じく防人老人の元に送り出されるが、そこで世間から青藍島叩きの顔として使われてしまった状況を淳之介達が見たことで、文乃を奪還しに本島へ向かう。文乃奪還後はドスケベ条例を完全に破壊する為に動く防人老人VS共存の道を示したいNLNSとの勝負となるのだが、ここが非常に熱い。今まで敵だった手嶋を師匠とし、SSやSHOも味方として共闘する。最終的に防人と仁浦を打ち倒し共存の道を勝ち取るのだが、その時明暗を分けたのが頼れる仲間がいるか否かというのも、ぬきたしの大きなテーマの一つになっているだろう。結果的に青藍島は差別問題などにも目を向けるようになり、日本の中でも社会的に一歩進んだ島となる。この作品の中で一番のハッピーエンドである。

 

 

 

 ・作品のテーマ

普段生きていてはそうそう見ない強烈な下ネタや、絶対他所から怒られそうなパロネタのオンパレードで外から見た分には分かりにくくなっているが、この作品のテーマは、「共存」と「相互理解」である。このテーマを扱うにあたって、また、作中におけるキャラクターの行動から比較する作品が二つ存在する。「コードギアス 反逆のルルーシュ」と「劇場版機動戦士ガンダム00 A wakening of the Trailblazer」である。どちらもロボットアニメであるが、テーマとするところは近いものがある。

コードギアスにおいて、社会的弱者の日本人がイレブンと呼ばれ迫害を受けているように、ぬきたしにおいても淳之介達のような反交尾勢力は島の中で迫害を受ける。それに対しレジスタンス行動を行うところまで一致している。ルルーシュは最終的に自らに悪意を集中させ死んでみせることで民を一つにすることに成功したが、淳之介は文乃と協力し国民の同情を得ることで青藍島に対する悪意を消失させた。また、「王の力は人を孤独にする」というギアスの言葉があるが、ぬきたしにおいても洗脳能力を持った手嶋は、美岬ルートにおいて最後まで満足することなく舞台を去った。淳之介曰く、手嶋に必要だったのは理解者であり、力でもなんでもないということである。手嶋が最後に言った、「正体を隠していた時の淳之介との会話は悪くなかった」という台詞は本心であると想像でき、やはり手嶋に必要だったのは手駒ではなく友人や恋人のような理解者であったのであろう。

劇場版ガンダム00に関してはもっとわかりやすく、共存と相互理解というテーマがそのまま降りてくる。刹那達はELSのような文化も言葉も、生態系すら異なる存在と、クアンタムバーストを用いて心を繋げることで互いの思いを理解し、戦争せず共存の道を選ぶことに成功した。ぬきたしにはクアンタムバーストのような都合の良い能力はなく(桐香の粘膜接触した相手の心を読む能力や、文乃の目で見た相手が真実を言っているかどうかを判断する能力は存在するが、それだけでは一方通行)、ELSのように生態系こそ異なるわけではないが、青藍島民と本島民という文化の隔たりがある人間をお互いに理解させる必要があった。ぬきたしでは、文乃のスピーチによって、セックスを望む者も望まない者も、お互いが尊重されるべきであると説き、最終的には新条例によって共存することができた。ここで必要であったのは相手を理解する、理解できなくても許容しようとする努力であり、お互いにそれを怠るが故に争いや迫害は起こるのである。

最終的にセックスを望む者と、セックスを望まない者が共存できるようになったことにより、青藍島はディストピアではなく本当のユートピアになった。すぐに意識を変えることはできないだろう。が、青藍島民はみんな相互理解の努力を行なっているはずである。インターネット民の我々も、そんな相互理解の努力を怠らないようにしなければいけないのではないだろうか。

 

 

・総評

バカゲーの皮を被ったバカゲー、であると同時に燃えゲーであり泣きゲー。ギャグとバトルと感動要素が奇跡のバランスで成り立っており、そのどれもが一級品という正に最高クラスのエッチゲームであった。キャラクターもみんな魅力的で、ギャグも今までやってきた中でもトップクラスに面白い(パロディが多いため、知らない人にはわかりにくい部分があるかもしれない。実際、俺は半分も理解できていない)

 

 まぁここまで読んだ人は既プレイヤーだろうが、もしやってない方がいるなら是非プレイして頂きたい。